2026年のアメリカ女子フィギュアスケート界は、アリサ・リウの五輪金メダルを筆頭に、アンバー・グレン、イザボー・レヴィトら実力者が競い合う、層の厚い時代を迎えています。ミラノ・コルティナ五輪の女子シングルでは、リウが合計226.79点で優勝。全米選手権ではグレンが233.55点で優勝しており、国内大会と五輪で異なる結果になったことも、現在の勢力図を理解するうえで見逃せません。
2026年10月29日時点では、2026年世界選手権の結果と2026-27シーズンのISU世界ランキングも重要な判断材料です。リウが五輪と2025年世界選手権のタイトルを持つ一方、グレンはトリプルアクセルを武器とし、レヴィトは世界選手権4位で巻き返しを見せています。3人の順位・得点・実績を整理し、歴代のアメリカ女子金メダリスト、代表選考の仕組み、次世代を担う若手選手まで詳しく解説します。
【2026年ミラノ・コルティナ五輪】アメリカ女子の順位とメダル獲得の全貌

2026年2月に開催されたミラノ・コルティナ五輪の女子シングルで、アメリカのアリサ・リウが合計226.79点を獲得し、金メダルに輝きました。銀メダルは日本の坂本花織、銅メダルは中井亜美。リウはショートプログラム(SP)で3位につけた後、フリースケーティング(FS)で首位の演技を見せ、逆転優勝を果たしています。
アメリカの女子シングル選手が五輪で個人金メダルを獲得するのは、2002年ソルトレークシティ大会のサラ・ヒューズ以来です。リウの優勝は、アメリカ女子フィギュアスケートが世界の頂点を争う力を再び示した結果となりました。
五輪女子シングルのアメリカ代表3選手の結果- アリサ・リウ:1位、合計226.79点。SP3位からFS1位へ順位を上げ、個人金メダルを獲得。
- アンバー・グレン:5位、合計214.91点。SP13位からFS3位まで巻き返し、フリーで高い技術力を示した。
- イザボー・レヴィト:12位、合計202.80点。SP8位からFS13位となり、総合順位を落とした。
この結果で注目したいのは、グレンのフリーでの追い上げです。ショートで出遅れても、フリーで高得点を獲得すれば総合順位を大きく上げられます。一方、レヴィトはショートで8位につけながら、フリーで本来の力を十分に発揮できず12位に終わりました。五輪のような大舞台では、技術力だけでなく、2種目を通じた安定感が順位を左右します。
なお、団体戦と個人戦のメダルは区別する必要があります。アメリカは五輪のフィギュアスケート団体戦でも金メダルを獲得し、リウとグレンは団体戦の金メダル獲得にも貢献しました。ただし、個人戦で金メダルを獲得したのはリウです。レヴィトの個人戦12位という結果と、アメリカ代表全体の団体戦金メダルは、別の実績として捉える必要があります。
【全米選手権・世界選手権を比較】3強の実績と現在の立ち位置
アメリカ女子の勢力図を把握するには、五輪だけでなく、2026年全米フィギュアスケート選手権と2026年世界選手権を並べて見ることが重要です。全米選手権は代表選考に関わる国内最高峰の大会であり、世界選手権は各国のトップ選手が争う国際大会です。大会ごとに出場選手や競技環境が異なるため、ひとつの順位だけで実力を判断することはできません。
米国フィギュアスケート連盟の全米選手権公式結果とISUの国際大会公式結果を整理すると、3選手の特徴が見えてきます。
| 選手 | 2026年全米選手権 | 2026年五輪・個人戦 | 2026年世界選手権 | 主な実績・特徴 |
|---|---|---|---|---|
| アリサ・リウ | 2位・228.91点 | 1位・226.79点 | 出場なし | 2025年世界選手権優勝、2026年五輪金メダル。大舞台での勝負強さが光る。 |
| アンバー・グレン | 1位・233.55点 | 5位・214.91点 | 6位・203.12点 | トリプルアクセルを武器とする高い技術力。全米選手権2連覇の実績。 |
| イザボー・レヴィト | 3位・224.45点 | 12位・202.80点 | 4位・206.99点 | 2022年世界ジュニア選手権優勝。表現力と演技の完成度に強みを持つ。 |
| サラ・エバーハート | 5位・209.47点 | 五輪代表外 | 11位・197.43点 | 2025年四大陸選手権銅メダリスト。次世代の代表争いで注目される。 |
数字が示すのは、単純な序列ではありません。グレンは全米選手権で優勝しましたが、五輪ではリウが頂点に立ちました。レヴィトも五輪では12位だった一方、世界選手権では4位に入っています。大会ごとの結果に差があるからこそ、選手の現在地を判断するには、複数の大会を継続的に比較する必要があります。
また、全米選手権の総合得点が五輪の得点を上回っているグレンについても、国内大会の233.55点と五輪の214.91点を直接比較して優劣を決めることはできません。採点はそれぞれの大会での演技に対して行われ、出場者や演技内容も異なるためです。
【注目選手を解説】アリサ・リウ、アンバー・グレン、イザボー・レヴィトの強み
アリサ・リウ:世界選手権と五輪を制したアメリカのエースアリサ・リウは、2025年世界選手権と2026年五輪の女子シングルを制した、現在のアメリカ女子を象徴する選手です。2005年生まれのリウは、2022年に競技から引退した後、2024年に復帰。復帰後に世界の頂点へ返り咲いたキャリアは、2026年の五輪金メダルを理解するうえで欠かせません。
リウの強みは、技術的な難度だけでなく、プログラム全体をまとめる力にもあります。2026年五輪ではSPで3位だったものの、FSで150.20点を獲得して首位となり、合計226.79点で優勝しました。大舞台でフリーの得点を伸ばし、最終順位を決める勝負強さが際立ちました。
2026年全米選手権では228.91点で2位でしたが、五輪では頂点に立っています。国内大会の順位がそのまま国際大会の結果に直結するわけではないことを、リウ自身のシーズンが示しています。
アンバー・グレン:トリプルアクセルで勝負する技術派アンバー・グレンは、トリプルアクセルを競技会で成功させた実績を持つ、技術面で大きな存在感を放つ選手です。トリプルアクセルは前向きの踏み切りから3回転半を行う高難度ジャンプで、成功すれば得点面で大きな武器になります。ただし、難しいジャンプを組み込むだけでなく、着氷の質や回転不足の判定、演技全体の完成度も総合得点に影響します。
グレンは2026年全米選手権で233.55点を獲得し、優勝。SP、FSともに1位という安定した内容でした。一方、五輪ではSP13位からFS3位へ順位を上げ、総合5位で大会を終えています。世界選手権では203.12点で6位でした。
グレンを評価する際の要点は、ジャンプの難度だけに注目しないことです。高難度ジャンプが得点の上限を押し上げる一方、SPでの出遅れを防ぎ、フリーまで安定した演技を続けられるかが、今後の優勝争いを左右します。
イザボー・レヴィト:表現力と完成度で巻き返す若き実力者2007年生まれのイザボー・レヴィトは、ジュニア時代から国際舞台で実績を積み、2022年世界ジュニア選手権を制した選手です。繊細な表現力やプログラムの完成度に強みを持ち、ジャンプの難度だけでは測れない魅力があります。
2026年は五輪12位という結果に終わりましたが、その後の世界選手権では206.99点で4位に入りました。五輪での結果だけを見て評価を下げるのではなく、シーズン後半にどこまで立て直したかを見ることが重要です。
2026年全米選手権では3位。ISU世界ランキングでは10月24日時点で6位につけています。五輪でメダルを獲得したリウや、技術面で高い得点力を持つグレンとは異なる持ち味があり、2026-27シーズンに安定感を高められるかが焦点です。
【歴代金メダリスト】アメリカ女子フィギュアスケートの栄光と復活
アメリカ女子フィギュアスケートは、五輪の女子シングルで長い歴史を持っています。歴代の金メダリストには、異なる時代の競技スタイルを象徴する選手が並びます。
- テネル・オルブライト:1956年コルティナダンペッツォ五輪で金メダル。
- キャロル・ヘイス:1960年スコーバレー五輪で金メダル。
- ペギー・フレミング:1968年グルノーブル五輪で金メダル。
- ドロシー・ハミル:1976年インスブルック五輪で金メダル。
- クリスティ・ヤマグチ:1992年アルベールビル五輪で金メダル。
- タラ・リピンスキー:1998年長野五輪で金メダル。
- サラ・ヒューズ:2002年ソルトレークシティ五輪で金メダル。
- アリサ・リウ:2026年ミラノ・コルティナ五輪で金メダル。
こうして見ると、リウの優勝は単なる一大会の成功ではありません。ヒューズ以来24年ぶりにアメリカ女子が五輪の個人金メダルを獲得したことで、長く続いた空白に区切りをつけました。
世界選手権にもアメリカ女子の伝統があります。ミシェル・クワンは複数回の世界選手権優勝を達成し、2006年にはキミー・マイズナーが世界王者となりました。そして2025年、リウが世界選手権を制しています。五輪と世界選手権は別の大会ですが、両方で優勝者を輩出してきた歴史は、アメリカ女子の競技基盤の厚さを示しています。
ただし、歴代の実績がそのまま現在の強さを保証するわけではありません。国際大会の勢力図は、技術ルール、各国の育成環境、選手の世代交代によって変化します。過去の金メダル獲得数と現在の世界ランキングを分けて考えることが、現状を正確に理解するポイントです。
【採点と代表選考の仕組み】順位を左右するSP・FSの得点と選考基準
ショートプログラムとフリースケーティングはどう採点される?女子シングルの総合得点は、ショートプログラムとフリースケーティングの得点を合算して決まります。各プログラムでは、ジャンプやスピン、ステップなどの技術要素に対する技術点と、演技構成やスケーティングスキル、表現などを評価する演技構成点が採点されます。転倒などの減点が発生する場合もあります。
そのため、難しいジャンプを跳べる選手が必ず優勝するとは限りません。ジャンプの回転不足や着氷の乱れで技術点を失えば、難度の高さが十分に得点へ結びつかない場合があります。逆に、ジャンプの難度が突出していなくても、ミスの少ない演技と高い演技構成点で順位を伸ばす選手もいます。
2026年五輪の結果は、この違いをよく表しています。グレンはSP13位からFS3位へ巻き返しましたが、SPでの出遅れが総合順位に影響しました。リウはSP3位からFS1位へ順位を上げ、金メダルを獲得しています。両種目を通して得点を積み上げることが、安定した成績につながります。
アメリカ女子フィギュアスケートの代表選考は全米優勝だけで決まる?五輪や世界選手権の代表選考は、全米選手権の優勝者が自動的にすべての代表枠を獲得するという単純な仕組みではありません。米国フィギュアスケート連盟が公表した2026年五輪の選考手順では、全米選手権や直近の世界選手権、過去の五輪実績、競技成績の評価、世界ランキングなど、複数の要素が選考過程に組み込まれていました。選考委員会による裁量的な判断も設けられています。
2026年五輪のアメリカ女子代表は、全米選手権後にアンバー・グレン、イザボー・レヴィト、アリサ・リウの3人が選出されました。全米選手権の上位3人がそのまま代表になったものの、制度上は国内順位だけでなく、国際大会での実績や総合的な競技力を踏まえて判断する仕組みです。
また、代表枠は各国に無制限に与えられるわけではありません。アメリカ女子が国内大会で上位を占めていても、国際大会の出場枠には上限があります。そのため、国内の競争が激しいことと、国際大会に出場できる人数が多いことは、必ずしも同じではありません。
【アメリカ女子の強さと若手選手】2026-27シーズンの最新ランキング・展望
10月24日時点のISU世界ランキングISU公式の世界ランキングは、2026年10月24日19時40分(UTC)時点で、アリサ・リウが1位、アンバー・グレンが3位、イザボー・レヴィトが6位となっています。アメリカ勢ではブラディ・テネルが8位、サラ・エバーハートが9位に入り、上位に複数の選手が名を連ねています。
ここで注意したいのは、ISU世界ランキングが直近の大会だけを集計した順位ではないことです。過去の複数シーズンの実績などが反映されるため、シーズン序盤は前シーズンまでの成績がランキングに大きく影響します。世界ランキング1位という情報だけで、2026-27シーズンの大会で最も高い得点を出していると判断することはできません。
次世代を担う若手女子選手アメリカ女子の今後を考えるうえで、上位3人に続く選手の成長も重要です。特に注目したいのが、サラ・エバーハート、ソフィー・ジョリーン・フォン・フェルテン、エリス・リン=グレイシーらです。
- サラ・エバーハート:2025年四大陸選手権銅メダリスト。2026年世界選手権では11位となり、国際舞台での経験を積んでいます。
- ソフィー・ジョリーン・フォン・フェルテン:2009年生まれの若手選手。2026年全米選手権では6位に入り、シニア世代の競争に加わっています。
- エリス・リン=グレイシー:全米選手権などで経験を重ねている選手。今後の国内大会で順位を上げられるかが注目点です。
10月24日時点のISUグランプリシリーズの女子ランキングでは、サラ・エバーハートがフランス大会で184.62点を記録し、7位につけています。シーズン序盤の成績は、選手が現在どの程度の仕上がりにあるかを知る手掛かりになります。ただし、1大会の結果だけで年間の最終順位を予測することはできません。
なぜアメリカ女子は強いのかアメリカ女子の強さを考える際、金メダリスト個人の才能だけに注目するのは十分ではありません。全米選手権でグレン、リウ、レヴィトが233.55点、228.91点、224.45点を記録したことは、国内トップ層に複数の実力者がいることを示しています。
フィギュアスケートは、ジャンプの技術だけでなく、スピンやステップ、プログラム構成、音楽表現など、複数の能力が求められる競技です。選手ごとに異なる強みがあることで、国内大会を通じた競争が生まれ、国際大会で必要な演技の完成度を高める機会にもなります。
また、アメリカ女子には、難度の高いジャンプを武器とするグレン、総合力と勝負強さを示したリウ、表現力と完成度を追求するレヴィトという、異なる特徴を持つ選手がいます。特定の技術や演技スタイルに依存しないことは、競技全体の厚みにつながります。
2026-27シーズンの見どころ今季の最大の焦点は、五輪金メダリストのリウが引き続き国際大会で結果を残せるか、グレンがトリプルアクセルを含む高難度構成と安定感を両立できるか、そしてレヴィトが世界選手権4位の成績を足掛かりに表彰台へ近づけるか、という3点です。
加えて、エバーハートら若手が国際大会で経験を積み、国内の上位争いに加わることも重要です。代表選考では、全米選手権の順位だけでなく、国際大会での成績やシーズンを通じた安定性が判断材料となります。2026-27シーズンの全米選手権は、五輪後の新しい勢力図を確認する大きな機会となるでしょう。
【アメリカ女子フィギュアスケート】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年ミラノ・コルティナ五輪で金メダルを獲得したアメリカ女子選手は誰ですか?
A1:アリサ・リウです。女子シングルで合計226.79点を獲得し、金メダルに輝きました。アンバー・グレンは5位、イザボー・レヴィトは12位でした。なお、アメリカは団体戦でも金メダルを獲得しています。
Q2:2026年全米フィギュアスケート選手権の女子優勝者は誰ですか?
A2:アンバー・グレンです。合計233.55点で優勝し、アリサ・リウが228.91点で2位、イザボー・レヴィトが224.45点で3位となりました。
Q3:アンバー・グレンのトリプルアクセルは何がすごいのですか?
A3:トリプルアクセルは前向きに踏み切る3回転半ジャンプで、高い技術力が大切です。グレンは競技会での成功実績を持ち、技術点を伸ばす武器としています。ただし、ジャンプの成功率や演技全体の完成度も総合順位を左右します。
Q4:アリサ・リウは世界選手権でも優勝していますか?
A4:はい。リウは2025年世界選手権で優勝し、2026年五輪では女子シングル金メダルを獲得しました。世界選手権と五輪の両方でタイトルを持つことが、現在の実績を評価する要点です。
Q5:2026年10月時点でアメリカ女子の世界ランキング上位は誰ですか?
A5:10月24日付のISU世界ランキングでは、アリサ・リウが1位、アンバー・グレンが3位、イザボー・レヴィトが6位です。このランキングは過去の実績も反映するため、最新大会の順位やシーズンベストとは区別して見る必要があります。
【プロの結論】2026-27シーズンの勢力図と選手の実力を見極めるポイント
2026年のアメリカ女子フィギュアスケートを象徴するのは、アリサ・リウの五輪金メダルだけではありません。全米選手権を制したアンバー・グレン、世界選手権4位に入ったイザボー・レヴィト、そして上位を追うサラ・エバーハートらが存在することで、アメリカ女子は複数の実力者を抱える構図になっています。
3人を比較する際は、リウの五輪・世界選手権タイトル、グレンのトリプルアクセルと国内大会での強さ、レヴィトの表現力と世界選手権での巻き返しを、それぞれ分けて評価することが大切です。五輪の順位だけを見ればリウが最上位ですが、全米選手権や世界選手権の結果を加えると、選手ごとに異なる強みと課題が見えてきます。
今後の大会結果を確認するときは、①SPとFSの両方の順位、②合計得点と技術点・演技構成点の内訳、③直近の国際大会での安定性、④ISU世界ランキングとその集計対象期間、⑤全米選手権など代表選考に関わる大会の結果、という5つの視点を押さえると、表面的な順位に左右されにくくなります。
2026-27シーズンは、五輪後の新たな競争が始まる時期です。リウが女王の座を守るのか、グレンが高難度ジャンプと安定性を両立するのか、レヴィトや若手選手がどこまで迫るのか。ひとつの大会の結果だけで勢力図を決めつけず、シーズンを通じた得点と演技内容を追うことが、アメリカ女子フィギュアスケートをより深く楽しむための判断基準になります。