東京都でアルバイトやパートを探している人にとって、2026年秋の最低賃金改定は、応募先を選ぶうえで見逃せない変更です。東京労働局の公式発表によると、東京都の地域別最低賃金は2026年10月1日から時給1,280円となり、前年の1,226円から54円引き上げられました。2026年10月29日現在、この金額が東京都の最新の地域別最低賃金です。
ただし、求人票に「研修期間あり」「固定残業代を含む」「各種手当あり」と記載されている場合、表示された金額だけでは最低賃金を満たしているか判断できないことがあります。パートや学生アルバイトにも適用される基本ルールから、歴代の最低賃金の推移、試用期間の例外、求人票のチェック方法、賃金が不足している場合の相談先まで、仕事探しと勤務中の確認に役立つ情報を整理します。
【2026年最新】東京の最低賃金は10月1日から時給1,280円
東京都最低賃金の2026年度改定額は、時間額1,280円、引き上げ額54円です。東京労働局は2026年9月30日の発表で、10月1日から新しい金額が効力を持つことを案内しています。したがって、2026年10月1日以降に東京都内の事業場で働いた時間については、原則として時給1,280円以上の賃金を受け取る必要があります。
改定前と改定後で何が変わった?2025年度の東京都最低賃金は1,226円でした。2026年10月1日からは54円上がり、1,280円となっています。上昇率に換算すると約4.4%です。
例えば、これまで最低賃金と同じ1,226円で働いていた人が、改定後も同じ労働時間で働く場合、時給は自動的に新しい最低額を下回らない水準にする必要があります。1か月の賃金対象労働時間が160時間なら、旧最低額との差額は単純計算で月8,640円です。実際の収入は勤務時間や契約内容、各種控除によって変わります。
東京都内のどこで働いても同じ金額?地域別最低賃金は、原則として労働者が働く事業場の所在地を基準に適用されます。新宿、渋谷、池袋、立川、八王子など、東京都内の事業場で働く場合、区市町村によって地域別最低賃金が変わるわけではありません。
東京都外に住んでいても、東京都内の事業場で働けば東京都の最低賃金が適用されます。派遣労働者についても、原則として派遣先の事業場に適用される最低賃金を確認します。また、特定の産業に産業別最低賃金が適用される場合は、地域別最低賃金と比較して高い方を確認する必要があります。
【歴代推移を比較】東京の最低賃金はどう上がってきた?
東京都の最低賃金は、2021年度以降、金額を段階的に引き上げてきました。2026年度は前年より54円高くなり、1,280円に到達しています。東京労働局や厚生労働省が公表している年度別の改定情報を基に、直近6年度の推移をまとめました。
| 年度 | 最低賃金の時間額 | 前年からの引き上げ額 | 発効日 |
|---|---|---|---|
| 2021年度 | 1,041円 | 28円 | 2021年10月1日 |
| 2022年度 | 1,072円 | 31円 | 2022年10月1日 |
| 2023年度 | 1,113円 | 41円 | 2023年10月1日 |
| 2024年度 | 1,163円 | 50円 | 2024年10月1日 |
| 2025年度 | 1,226円 | 63円 | 2025年10月3日 |
| 2026年度 | 1,280円 | 54円 | 2026年10月1日 |
2021年度の1,041円と比較すると、2026年度は239円の上昇です。約5年間で2割を超える引き上げとなり、東京都の最低賃金を基準に仕事を探す人にとって、求人条件を見直す意味は大きくなっています。
2026年度の引き上げ額はなぜ54円なのか最低賃金は、単純に全国一律の金額を決めて各都道府県に当てはめる制度ではありません。厚生労働省によると、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業における賃金支払い能力などを総合的に考慮し、地域ごとに審議・決定されます。
2026年7月28日に示された中央最低賃金審議会の改定目安では、東京都を含むAランクの都府県について54円の引き上げが提示されました。その後、各地域での審議を経て、東京都では54円の引き上げが決定されています。
最低賃金引き上げの背景には、物価や生活費の変化、賃金水準の改善、働く人の生活を支える必要性があります。一方、事業者側には人件費の増加という課題もあります。2026年度の改定では、全国加重平均の答申額も前年から56円上昇して1,177円となっており、賃金水準の底上げが全国的な政策課題になっています。
ただし、最低賃金が上がったからといって、すべての求人の時給が同じ割合で上がるわけではありません。もともと1,400円や1,600円で募集している仕事では、最低賃金の改定だけで同額の増額が義務付けられるわけではなく、契約上の賃金や別の賃金制度に従います。
【適用条件を解説】パート・アルバイト・学生も最低賃金の対象
厚生労働省が案内する最低賃金制度では、地域別最低賃金は雇用形態や呼び方にかかわらず、原則として都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。「アルバイトだから対象外」「学生だから安くてよい」「短時間勤務だから最低額より低くてよい」といった扱いは認められません。
最低賃金が適用される主な働き方- 学生アルバイト:飲食店、コンビニ、スーパー、塾などで働く学生も原則対象。
- パートタイマー:週数日や1日数時間の勤務でも対象。
- 短期・臨時アルバイト:繁忙期の短期スタッフなども原則対象。
- 試用期間中の従業員:通常は対象。特例の許可がある場合に限り、個別に減額が認められることがある。
- 研修中の従業員:研修期間という名称だけで最低賃金の適用がなくなることはない。
- 派遣労働者:原則として派遣先の所在地に適用される最低賃金を確認する。
確認する際に注意したいのは、給与明細に記載された総支給額を、そのまま労働時間で割ればよいわけではない点です。最低賃金の比較対象になるのは、毎月支払われる基本的な賃金を中心とした金額です。
厚生労働省の説明では、次の賃金は最低賃金の計算から除外されます。
- 結婚手当など、臨時に支払われる賃金
- 賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 時間外労働に対する割増賃金
- 休日労働に対する割増賃金
- 午後10時から午前5時までの深夜労働に対する割増部分
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
例えば、基本時給が1,250円で、通勤手当を含めた支給額が実質的に1,300円相当になっていたとしても、それだけで最低賃金を満たしていることにはなりません。通勤手当を除外したうえで比較する必要があるためです。
【研修・試用期間の注意点】時給1,280円を下回るのは違法?
東京のアルバイト求人で特に注意したいのが、「研修期間中は時給1,200円」「試用期間の最初の1か月は時給1,100円」といった条件です。2026年10月1日以降の東京都内の労働について、研修や試用期間という理由だけで最低賃金を下回る金額を設定することは、原則として認められません。
研修期間のアルバイト時給はどう判断する?飲食店で接客方法を教わる時間、スーパーでレジ操作を練習する時間、店舗の責任者から業務手順の指示を受ける時間など、雇用契約の下で労働に従事する時間には、原則として賃金が発生します。研修中であることを理由に、一律で低い時給にできるわけではありません。
例えば、求人票に「研修期間3か月・時給1,200円」と書かれていても、東京都内の事業場で2026年10月1日以降に働く場合、通常は時給1,280円以上が必要です。研修期間が終わった後の時給だけでなく、研修中の賃金も確認してください。
試用期間なら最低賃金を下げられる?試用期間については、法律上の例外が存在します。ただし、試用期間を設定すれば自由に最低賃金を下げられるという制度ではありません。
最低賃金法では、一定の条件を満たす場合に、都道府県労働局長の許可を受けて最低賃金の減額特例を適用できる仕組みがあります。試用期間中の労働者もその対象になり得ますが、個別の許可が必要であり、会社が独自に「試用期間なので時給を下げる」と決めるだけでは足りません。
求人票に最低賃金を下回る試用期間の時給が書かれていたら、まず許可の有無と適用条件を確認することが大切です。説明が曖昧な場合や、許可があると説明されても納得できない場合は、東京労働局の賃金担当窓口や労働基準監督署に相談できます。
【求人票の見分け方】固定残業代と時給換算の落とし穴
最低賃金を確認するときは、求人票の目立つ数字だけではなく、賃金の内訳と労働時間を確認する必要があります。特に月給制の求人や固定残業代を含む求人では、計算を誤りやすくなります。
時給制の求人で確認する3つのポイント- 基本時給:東京都内で2026年10月1日以降に働く場合、原則1,280円以上か。
- 手当の内訳:通勤手当や精皆勤手当など、最低賃金の比較対象にならない手当を時給に加えていないか。
- 研修中の条件:研修や試用期間の時給が別に設定されている場合、その金額も最低賃金を満たしているか。
求人サイトに掲載された時給が1,280円を下回っている場合でも、情報更新の遅れや、募集条件が改定前のままになっている可能性があります。応募前に勤務開始日と実際の賃金を確認し、採用担当者に具体的な説明を求めるのが確実です。
固定残業代は最低賃金の計算に含められる?固定残業代とは、実際の残業時間にかかわらず、一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金をあらかじめ支給する制度です。求人票に「月給23万円、固定残業代3万円を含む」と書かれている場合、23万円全額を通常の労働時間に対する賃金として扱うことはできません。
最低賃金との比較では、固定残業代などの時間外割増賃金に当たる部分を除き、基本給と算入対象となる手当を基に時間額へ換算します。
月給制の最低賃金を計算する方法月給制の求人では、原則として次の考え方で時間額を計算します。
最低賃金の比較に使う時間額 = 算入対象となる月給 ÷ 1か月平均の所定労働時間
例えば、最低賃金の計算対象となる月給が20万4,800円で、1か月平均の所定労働時間が160時間なら、時間額は1,280円です。この場合、東京都の2026年度最低賃金と一致します。
一方、月給23万円のうち3万円が固定残業代で、残り20万円が最低賃金の計算対象となる賃金だと仮定すると、同じ160時間で割った時間額は1,250円です。単純計算では1,280円を下回るため、賃金の内訳や労働時間などを確認する必要があります。これは計算方法を示す例であり、実際の適法性は契約内容や手当の性質などによって判断されます。
固定残業代がある求人では、少なくとも次の点を確認してください。
- 基本給と固定残業代が明確に分けて記載されているか。
- 固定残業代が何時間分の時間外労働に対応するのか明示されているか。
- 固定残業代を除いた賃金が最低賃金を満たしているか。
- 固定残業代でカバーする時間を超えた残業について、必要な割増賃金が支払われる契約になっているか。
なお、深夜勤務の割増賃金なども、通常の労働時間に対する賃金と区別して扱う必要があります。給与の総額だけを見て判断せず、賃金の内訳を確認が必要です。
【最低賃金を下回る場合の対処法】相談窓口と確認手順
給与明細を確認した結果、時給1,280円を下回っている疑いがある場合は、すぐに退職を決めたり、会社との口論に発展させたりする必要はありません。最初に、いつ、どのような条件で働いたのかを整理し、賃金の計算方法を確認することから始めましょう。
最初に集めたい証拠- 求人票や求人サイトの募集条件が分かる画面・保存データ
- 労働条件通知書、雇用契約書、就業規則など
- 給与明細と銀行口座への振込記録
- タイムカード、勤怠アプリ、シフト表、出退勤の記録
- 研修期間や試用期間の賃金について会社とやり取りした記録
求人票の時給と実際の給与が異なる場合は、採用担当者や上司に賃金の計算方法を確認します。説明が不十分な場合や、最低賃金を下回っている可能性が解消されない場合には、行政の相談窓口を利用してください。
東京労働局の最低賃金相談窓口東京都最低賃金に関する問い合わせ先として、東京労働局労働基準部賃金課が案内されています。2026年10月時点で公表されている連絡先は、03-3512-1614です。
賃金の未払いなど、具体的な労働基準法・最低賃金法違反の疑いについては、事業場を管轄する労働基準監督署にも相談できます。最低賃金に関する一般的な相談や事業者向け支援については、東京働き方改革推進支援センターも窓口の一つです。
東京労働局は、2026年10月の改定に際して、最低賃金の周知と履行確保に向けた取り組みを進めています。事業者が新しい最低賃金を支払わない場合は、最低賃金法違反となる可能性があります。
相談するときは、「東京都内で働いている」「勤務開始日と勤務時間」「契約上の時給」「給与明細に記載された金額」を具体的に伝えると、状況を説明しやすくなります。相談しただけで必ず未払い賃金が回収できると決まるわけではありませんが、必要な確認や次の対応について助言を受けられます。
【東京最低賃金バイトに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年10月の東京都最低賃金はいくらですか?
A1:2026年10月1日から、東京都の地域別最低賃金は時給1,280円です。2025年度の1,226円から54円引き上げられました。
Q2:時給1,250円のアルバイト求人に応募しても大丈夫ですか?
A2:2026年10月1日以降の東京都内での勤務については、原則として最低賃金を下回る条件です。求人情報の更新が遅れている可能性もあるため、応募前に勤務開始日と実際の時給を採用担当者に確認してください。
Q3:研修期間だけ時給が低くても問題ありませんか?
A3:研修期間という理由だけで最低賃金を下回ることは、原則として認められません。試用期間中の減額特例などには個別の許可が必要です。通常の研修時給であるという説明だけでは、最低賃金を下回る根拠にはなりません。
Q4:通勤手当や固定残業代を含めれば最低賃金以上になります。問題ありませんか?
A4:通勤手当は最低賃金の計算対象に含まれません。また、固定残業代などの時間外割増賃金も除外して比較する必要があります。対象となる賃金を確認し、所定労働時間に応じて時間額に換算してください。
Q5:最低賃金を下回る時給で働いていたら、どこに相談すればよいですか?
A5:東京労働局労働基準部賃金課(03-3512-1614)や、事業場を管轄する労働基準監督署に相談できます。求人票、雇用契約書、給与明細、勤怠記録などを手元に用意しておくと、状況を説明しやすくなります。
2026年10月1日から、東京都最低賃金は時給1,280円に改定されました。前年から54円の引き上げとなり、東京都内で働くアルバイトやパートにとって、求人票や給与明細を見直す重要な節目です。
仕事を探す際は、求人票に書かれた時給だけで判断せず、研修期間の条件、通勤手当の扱い、固定残業代の内訳、実際の所定労働時間まで確認してください。特に月給制や固定残業代を含む求人では、総支給額を時間数で割るだけでは正しい判断ができない場合があります。
求人を選ぶときの判断基準は明確です。東京都内の勤務であれば、2026年10月1日以降の労働について、最低賃金の計算対象となる賃金が原則として時給1,280円以上であることを確認すること。説明が曖昧な条件や、研修を理由に極端に低い時給を設定する求人には慎重に対応しましょう。
最低賃金は、働く人が受け取る賃金の最低ラインを保障する制度です。時給の数字だけでなく、どの賃金が計算に含まれるのかを理解しておくことが、納得できるアルバイト選びと、働き始めてからのトラブル防止につながります。